■マコの傷跡■

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chapter 38



~ chapter 38 “後悔” ~ 

母と暮らすようになった時、私は今までの自分を振り返ってみた。
あんなに好きだったサーファーの彼と、何かを掴みたいからと言って別れたくせに
私はいつも誰かに頼ってちっとも自分で動いていなかった。
結局、私は未だに何も掴めていないではないか。
いつも誰か・・・だいたいは異性に頼り、ずるずるとここまで来てしまった。
しかもサーファーの彼以上に好きになった人など居なかった。
いつも心の奥底に彼がいて、比べてはサーファーの彼の方が勝っていた。
私はバカだ。大バカだ。好きだったら、彼から離れてはいけなかったのだ。
いつか、彼のところへ戻りたいとどこかで思っている状態で
寂しさに負けて誰かと付き合っているからいけないのだ。
それぞれ付き合っている時は真剣に向き合おうとしてきたけれど
彼が心に居るのだから上手く行きっこないのだ。
彼を忘れられない。私にとって彼を超える人はきっと居ない。

そう思った私はもう1度、彼に気持ちを向けてみる事にした。
今までも時々、ほんとに時々・・・1年か2年に1度くらいだけど彼とは連絡を取っていて
彼の方でも何人かの彼女が出来たり、転職したり、引越ししたりしている話は聞いていた。
私がフリーの時は彼に彼女が居たり、彼がフリーの時には私に彼氏が居たりしていた。
もう1度、彼の所に戻りたい。自分の寂しさを誰かにうめてもらって誤魔化すのはもう止めよう。
自分の中で少しでも彼に戻りたいという気持ちがあるうちはダメだ。
そんな状態で誰かと付き合うのは相手にも失礼だったのだ。
今年1年は、彼氏を作らずに彼に気持ちを向け、1人で耐えよう。
その間に彼に彼女が居ても1年は彼を待つ。
そして1年後、彼に彼女が居ても居なくても告白して、そこでだめならもう彼の事はキッパリと諦める。
そうしたら、その先は・・・彼の事は忘れて、お見合いでもして他の人と結婚しよう。

でもとても1人で居られる状態じゃなかった。
誰かが一緒に寝てくれないと深い眠りにつけないのは同じだった。
金属加工の工場での勤めも一般的な人と比べたらかなり休みがちだった。
仕事中は人と話さないでいられるが、休憩時間は女子社員で集まって過ごす。
人と接するのがすごくしんどかったので出来るだけ女子社員の仲間に入らず、
逃げるように裏で1人、休憩時間を過ごした。
家に帰ると部屋で横になったまま完全に固まっていた。
誰かにそばに居て欲しかった。触れていて欲しかった。
頭をなでてもらうか、抱きしめてもらえたら、すぅっと眠りにつけそうなのに。

ダメだ。このままではまた自分の弱さに負けてしまう。
誰でもいいから慰めてくれる人を探してしまいそうだった。




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